香水を長持ちさせる保管方法。冷蔵庫に入れるのはNGって本当?

この記事を書いた人
小鳥遊 文子
コスメコンシェルジュ

【保有資格】 ・2022年~:日本化粧品検定1級 ・2023年~:特級コスメコンシェルジュ/化粧品成分上級スペシャリスト(化粧品成分検定1級) 化粧品を信仰しない、フラットな目線からの記事作成を心掛けています。

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香水は香りによる嗜好性の高さから、化粧品の中でもとりわけ愛着が湧きやすいアイテムです。ですが、保管の仕方を間違うと、あっという間に劣化してしまうことも。大切な香水が使えなくなってしまったら、悲しいですよね。

そこでここでは、香水を長持ちさせる保管方法について解説します。「冷蔵庫に入れるのはNG?」という疑問にも答えます。

香水の劣化を防いで上手に保管したい人は、ぜひ参考にしてください♪



香水の寿命は未開封でも3年ほど

香水の寿命は、未開封のものを適切な環境で保管した場合で、3年ほど持つといわれています。そして、開封後は1年を目安に使い切るのがよいとされています。

ただし、これらはあくまでも保存状態がよい場合の期間です。保管されている環境によっては、もっと早く劣化が進む可能性もあります。

香水が劣化する原因

香水は紫外線に弱い

香水の主成分はアルコールと香料です。弱点の一つは「紫外線に弱いこと」。

窓辺の直射日光がアウトなのはもちろんのこと、蛍光灯やLEDの光も香水にはあまりよくないといいます。

参考までに、紫外線の強さは日光がもっとも強く、次いで蛍光灯>LEDとなっています。特に、パーティー用などで出番が少ない香水は、明るい場所に置きっぱなしにしないようにしましょう。

温度変化にも弱い

香水は温度変化にも弱いです。暑さにも弱いですが、急に寒い場所に移すよりは、暑いままの方が劣化が少ないともいわれます。

室内でも、日中出かけているときはエアコンを切っていて暑い・または寒く、夜帰って来てからは空調が効いている・・・・など、一日の中で室温が大きく変化する場所は、香水の保管場所としては好ましくありません。

空気に触れると酸化する

酸素にも弱いため、空気に触れると酸化します温度が高い場所や光が当たる場所では、より酸化が進みやすくなります

現代の香水ボトルが、スプレー式でフタが開けられない容器が主流になっているのも、なるべく空気に触れさせないことで酸化を防ぐため。

フラコンと呼ばれる、昔ながらのフタが完全に開くタイプのボトルでなければあまり心配ありませんが、スプレー式の香水もフタは必ず閉めるようにしましょう。

また、アトマイザーに詰め替えるときも、詰め替え途中の香水を出しっぱなしにすると、どんどん酸化してしまいます。詰め替え中にやむを得ず中座するときは、香水瓶もアトマイザーも、いったんフタを閉めておきましょう。

細菌・カビ・酵母による腐敗

香水は主成分のアルコールに殺菌作用があり、香料にも殺菌作用を持つものがあります。そのため、腐敗の心配は少ないですが、それでも万一、細菌やカビ、酵母に汚染されると腐ってしまいます

特に、フタに付属の栓やスポイトで肌に付けるタイプの香水は、直接に触れることで汚染されやすいため、肌を清潔にしてから使うなど気を付けた方がよいでしょう。

スプレー式のものも、スプレー部分に付着した香水がカビることがあります

香水を保管するときは、カビなどによる汚染を防ぐためにも、高温多湿の場所を避けるようにしましょう。また、スプレーが汚れたときは、キレイに拭き取っておくと安心です。



香水の保管中に起こりやすいトラブル

揮発して中身がなくなってしまう

香水は成分の大半がアルコールで占められているため、非常に揮発性が高いです。そのため、揮発して中身がなくなってしまうトラブルが起こりがち。輸入香水などは、日本に運ばれてくるまでの間に中身が減ってしまっていることもあるそうです。

揮発を防ぐために、香水瓶の多くは本体部分とフタのネジ合わせの精度を高めることで、密閉性が保たれるように作られています。

ですが、それでも保管環境が悪いと、「とっておきの大切な香水を久々に使おうと思ったら、瓶が空っぽになっていた!」という惨事を招くことがあります。

色落ち・変色による色の変化

香水の中には、ピンクやグリーンなどに美しく着色されたものも多く、目でも私たちを楽しませてくれます。ですが、保管しているうちに、せっかくの色が変わってしまうこともあります。

香水に使う着色料は、安定性が高い合成着色料がほとんど。天然由来の着色料は、香水に含まれるアルコールで分解されやすいため、あまり使われません。

ですが、安定性の高い合成着色料であっても、香水の中では半年~一年程度で分解されて「色落ち」することが多いのです。

また、アルコールが揮発して濃度が上がることで、黄~茶色に変色するケースもあります。

澱(おり)などの異物が発生する

香水は植物を溶かして作り、溶け切れなかった固形物はフィルターを通すことで除去します。ですが、製品中にごく少量の澱が残ることがあります。これはもともとそういうもので、不良品ではありません。

消費者からのクレームを恐れて、澱を完全に排除するメーカーもありますが、香水の製造時に生じる澱は、料理でいえば「アク」のようなもの。料理のアクに旨味が凝縮されているように、香水の澱も取りすぎると本来の香りが損なわれてしまうのです。

ですが、それとは別に、劣化によって澱などの異物が発生するケースもあります。購入時にはなかった浮遊物が見られたり、中の液にぬめりが生じている場合は、変質しているので使わないようにしましょう。



香水に適した環境と、長持ちさせる保管方法

香水の保管は冷暗所が基本

香水の保管上の注意点は、ワインのそれとよく似ているといわれます。ワインは劣化を防ぐために冷暗所で保管しますが、香水も冷暗所で保管するのが基本です。

一般家庭で保管するのであれば、家の北側でなおかつ、人の出入りが少ない場所が理想。こうした場所は日光や照明が当たりにくく、涼しくて温度変化も少ないので、香水の保管に向いています。

間取りや方位にもよりますが、一般的には「浴室以外の水回り」が、香水の保管場所の条件に当てはまる家が多いと思います。こうした場所に洗面台の収納扉床下収納などがあれば、そこに保管してもよいでしょう。

使用後はフタを閉めて箱に戻す

酸化と揮発を防ぐため、使うたびにきちんとフタを閉めることも大切です。気密性の高いスプレー式ボトルでも、油断すると少しずつ揮発して中身が減ってしまいます。

また、香水は美しい瓶に入ったものも多いため、見えるところに並べて飾りたくなりますが、香水は明るい場所に置き続けると光で劣化してしまいます。

大切な香水を最後まで楽しみたいなら、使用後は買ったときの箱に戻した方がよいでしょう。特に、たまにしか使わない香水や高価な香水、限定品で手に入りにくい香水は、きちんと箱に仕舞った方が安心です。

どうしても出しっぱなしにしたいなら、頻繁に使うもので、短期間で使い切れそうな香水だけにしておきましょう。



香水を冷蔵庫に入れるのはNG ?

冷蔵庫は温度が低すぎる

「香水の保管には冷蔵庫がよい」という意見がありますが、反対に「冷蔵庫では温度が低すぎる」という意見もあります。

香水にとってベストな温度は、10~15℃。一方、冷蔵庫は適正温度に調整されている場合で2~5℃、比較的温度が高い野菜室で3~7℃です。

冷蔵庫で香水を保管する場合に問題になるのは、温度が少し低すぎることと、室温との温度差が大きすぎるため、使用時の出し入れで劣化させてしまうことです。香水が温度変化に弱いことは、先に述べた通りですね。

また、小さい子供や高齢者がいる家の場合は、冷蔵庫に香水を入れておくと、食べ物と間違えて口にするリスクもあり危険です。

ワインセラーやコスメクーラーなら適温

参照元:楽天市場

冷蔵庫で香水を保管する方法は、上に挙げたデメリットの他に、食べ物に香水の匂いが移ってしまう心配もあります。ですが、簡単に冷暗環境にできて便利なのも確かです。

そこで、香水を冷蔵庫で保管したい人には、ワインセラーやコスメクーラーをおすすめします。香水はワインと保管に適した環境が似ているので、ワインセラーは香水にとっても理想的。普通の冷蔵庫よりも温度が少し高く、香水に適した10~15℃に調節することも可能です。

コスメクーラーは化粧品用に作られた小型の冷蔵庫で、庫内の温度は10~20℃程度。こちらも冷蔵庫よりも香水の保管に適しています。



香水を1年以内に使い切る方法

容量が少ないものを買うようにする

奮発して買った高価な香水や、大切な人からプレゼントされた香水が、使い切れずにダメになってしまったら悲しいですよね。

ですが、1回の香水の使用量は微々たるものなので、毎日使っても意外に減りません。

したがって、香水が傷まない期間の目安である開封後一年以内に使い切るには、なるべく容量が少ないものを選ぶのがおすすめです。特に何種類かの香水を使い分けたい人は、一つひとつの容量が多いと使い切れなくなってしまいます。

友達や家族とシェアしたり、ミニボトルやアトマイザーでの量り売りを利用してもよいでしょう。

ルームフレグランスとして利用する

二度と手に入らない限定香水やお気に入りの香水を、多めに買って余らせてしまったことはないでしょうか?

使い切れない香水は、コットンに染み込ませて小皿に載せ、リビングやトイレに置けばルームフレグランス代わりになります

古くなった香水を、リビングや玄関などの香り付けしたい場所に置いておき、気が付いたときにスプレーしても部屋がよい香りになります。

ハンドメイドが好きなら、余った香水でサシェや上の画像のようなリードディフューザーを作ってみてもよいでしょう。

化粧品買取店に買い取ってもらう

香水が余って使い切れなそうなときは、化粧品買取店に買い取ってもらう方法もあります。お店によって「購入から一年以内のもの」など条件がある場合もありますが、使いかけの香水でも買い取ってもらえることが多いです。

まとめ

【香水を長持ちさせる保管のコツ】

  • 冷暗所に保管する
  • 使用後はフタを閉めて箱に戻す
  • 冷蔵庫は温度が低すぎ、室温との温度差も大きいので不可
  • こだわるならワインセラーかコスメクーラーで保管

香水は保存状態がよければ、未開封で3年、開封後も1年ほど持つといわれます。ですが、保管の仕方によっては、本来の寿命よりも早く傷んでしまうことも。

大切な香水を最後まで楽しむために、保管方法にも気を配ってみてくださいね。

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