「無添加化粧品」「オーガニックコスメ」なら安全?敏感肌のための賢い化粧品の選び方

この記事を書いた人
小鳥遊 文子
コスメコンシェルジュ

【保有資格】 ・2022年~:日本化粧品検定1級 ・2023年~:特級コスメコンシェルジュ/化粧品成分上級スペシャリスト(化粧品成分検定1級) 化粧品を信仰しない、フラットな目線からの記事作成を心掛けています。

記事内に広告を含みます

「敏感肌だけど、無添加と書いてある化粧品を買えば大丈夫?」、「お店で『これはオーガニックコスメなので肌にやさしくておすすめ』と言われた」。

何となく肌にやさしそうなイメージを持つ人も多い、「無添加化粧品」と「オーガニックコスメ」。ですが、無添加化粧品やオーガニックコスメであれば、間違いなく安全な化粧品なのでしょうか?

ここでは安全な化粧品を選びたい人のために、「無添加化粧品」と「オーガニックコスメ」について、定義とメリット・デメリットを解説します。

「無添加化粧品」、「オーガニックコスメ」の選び方と注意点も解説するので、参考にしてください♪



無添加化粧品の定義とメリット・デメリット

もともとは「表示指定成分無添加」のことだった

今よりも化粧品の品質がずっと低かった1970年代は、化粧品で肌トラブルを起こす人も多く、中でもタール系色素が原因の「女子顔面黒皮症」が大きな問題となっていました。

そこで1980年に当時の厚生省が定めたのが、「※表示指定成分」というルールです。「表示指定成分」とは、それまでにアレルギーなどの報告があった102種類の成分のことで、該当する成分を配合したらパッケージに記載する決まりになりました。

そうした流れで登場したのが、「アレルギーの報告があった成分は使っていない表示指定成分無添加化粧品」です。これが無添加化粧品の始まりです。

※現在は旧表示指定成分102種類に香料を加えた、合計103種類が表示指定成分とされています。

現在の無添加化粧品には明確な定義がない

現在は、「無添加化粧品」に明確な定義はありません。これは、2001年に化粧品の成分表示のルールが変わったことが大きく影響しています。

以前は「旧表示指定成分」に該当する成分だけ表示すればOKでしたが、2001年4月からは全成分表示が義務付けられました。(薬用化粧品のみ、表示指定成分の記載だけでも可。)

「表示指定成分」の定義も、香料を加えた103種類に増えたので、以前とは少し変わっています。

さらに、紫外線吸収剤など最近になってイメージダウンした成分や、合成ポリマーなどの新しく開発された成分もあるため、現在は無添加化粧品の定義は非常にあやふやな状態になっています。

無添加化粧品で排除されやすい成分

無添加化粧品の基準はメーカーによってまちまちですが、「アレルギーや皮膚障害の可能性があるとされる成分」が排除されるのが一般的です。

また、実際は安全性が高いとされている成分でも、消費者のイメージが悪いという理由で排除される成分もあります。

「無添加」と書かれている化粧品から排除されることが多い成分には、以下のものが挙げられます。

  • 旧表示指定成分
  • 石油系合成界面活性剤
  • 防腐剤(パラベン)
  • 鉱物油
  • エタノール
  • 紫外線吸収剤
  • 合成香料
  • 合成着色料




無添加化粧品のメリット

  • 添加物による肌荒れ・アレルギーを回避できる
  • 添加物による肌ストレスがないため、美容成分の効果が発揮されやすい

無添加化粧品を使うメリットは、概ねこの2つに集約されます。

無添加化粧品のデメリット

  • 防腐剤無添加だと腐りやすくなる
  • 原料臭が気になることがある
  • 値段が高くなりやすい

製品の処方にもよるので一概にはいえませんが、無添加化粧品のデメリットはだいたいこの3つでしょうか。

こうした欠点を抑えるため、無添加化粧品では防腐剤の代わりに静菌作用のある保湿剤を配合したり、あるいは精油で香り付けすることで原料臭を消すなどの工夫がされていることがあります。

「どの成分が無添加なのか」を確認して選ぶ

無添加化粧品はメーカーが自由に定義を決められるため、「どの成分が無添加なのか」がメーカーや製品によって異なります

例えば、こんな例があります。

【無添加化粧品A】

合成着色料・合成香料無添加だが、パラベンは配合されている

【無添加化粧品B】

石油系界面活性剤・パラベンは無添加だが、エタノールが多く配合されている

「無添加化粧品A」はパラベンが肌に合わない人には向きませんし、「無添加化粧品B」はエタノールに過敏症がある人は使えません。しかし、無添加化粧品と呼ぶための統一ルールはないため、どちらも無添加化粧品と表示できます。

したがって化粧品を選ぶときは「無添加」という言葉に惑わされず、自分が苦手な成分が排除されているかどうかをしっかり確認することが大切です。



オーガニックコスメの定義とメリット・デメリット

日本にはオーガニックコスメの明確な定義がない

オーガニックコスメも肌にやさしいイメージがあるため、好む人が増えています。しかし、日本ではオーガニックコスメにも明確な定義がありません

「オーガニック=有機の」という意味であることから、有機栽培された植物が使われているものをオーガニックコスメと呼ぶのが一般的、という程度です。「有機栽培」とは、農薬や化学物質を使わない栽培方法を指します。

国や業界が定める統一の基準はないため、有機栽培の植物が一つしか使われていなくてもオーガニックコスメと表示できるのです。

海外ではオーガニックコスメの認証団体がある

日本ではオーガニックコスメの統一基準がありませんが、海外にはオーガニックコスメの認証団体が多数あります。

団体によって基準が異なりますが、それぞれ具体的で明確な基準が設けられています。代表的な団体名をいくつか挙げてみましょう。

  • コスモス(COSMOS):欧州5団体による、オーガニックと自然化粧品の世界統一基準を決めるための組織。2010年設立の新しい団体だが、すでに24,000以上の製品をカバー。
  • エコサート(ECOCERT):1991年にフランスで設立。世界最大規模の認証団体。
  • エーシーオー(ACO):オーストラリアで2002年設立。もっとも厳しいオーガニック認証の一つ。

国内でも、海外でオーガニック認証を受けている化粧品が流通しています。オーガニックであることにこだわるのなら、信頼できる団体が認証している製品に注目してみるとよいでしょう。



オーガニックコスメのメリット

 

  • 化学肥料や農薬を使わない=化学物質を排除できる可能性が高い
  • 使用感をよくする成分など、「余計な成分」が使われていないことが多い
  • 洗浄系アイテムは洗浄力がマイルド
  • 精油が配合されていることが多く、植物本来の香りが楽しめる

化学物質を避けたい人や、必要最低限の成分で構成されたシンプルな処方の化粧品を選びたい人は、オーガニックコスメの中から探してみると理想に近い製品が見つかるかもしれません。

オーガニックコスメのデメリット

  • 化学物質・合成成分が一切使用されていないとは限らない
  • 植物成分が多く含まれることで、かえって刺激やアレルギーが出ることがある
  • 防腐剤が使われていないか配合量が少ないため、雑菌が繁殖しやすい
  • 原料コストが高いため、製品価格が高くなりやすい

いいことずくめのイメージが強いオーガニックコスメですが、デメリットもあります。特に注意が必要なのは、「必ずしも肌にやさしいとは限らない」という点です。

オーガニックを謳う化粧品でも添加物や化学物質が含まれている製品もありますし、最大のアピールポイントである「植物」にアレルギーを持つ人も少なからず存在します。

オーガニックだからと過信せず、成分表示を確認して選ぶ

オーガニックコスメといっても、必ずしもすべての人が安全に使えることが保証されているわけではありません。

そのため、オーガニックコスメだからと過信せず、成分表示をしっかり確認して選ぶことが大切です。

特に肌が弱い人は、パッチテストも行うとよいでしょう。不純物が含まれていないかなど、成分表示だけでは分からないこともあるからです。

また、オーガニック系のシャンプーやメイク落としは洗浄力が低いため、ハードな整髪料や落ちにくいメイクは落とせない可能性があります。

洗浄系のアイテムにオーガニックコスメを使いたいのであれば、メイクなども落としやすいものを選ぶようにしましょう。

まとめ

「無添加化粧品」の定義はメーカーによって異なり、必ずしも刺激の強い成分すべてが排除されているとは限りません。したがって、無添加だからとやみくもに信用するのではなく、「どの成分が無添加なのか」をよく確認することが大切です。

また、肌へのやさしさが期待される化粧品には「オーガニックコスメ」もありますが、こちらも日本には統一の基準がありません。そのため、必ずしも化学物質がまったく含まれないとは限りませんし、そもそも植物にアレルギーがある人もいるため、オーガニックだから安全とは言い切れないのが本当です。

オーガニックコスメについても成分表示をよく確認し、肌に合ったものを選ぶようにしましょう。