近頃チラホラと耳にするようになった、「フェムケア」。「欧米では常識です」という文脈で語られることも多いため、何となく意識が高そうなイメージがありますが、フェムケアとはどんなものなのでしょうか?
ここではフェムケアに興味がある人のために、「フェムケアとは何か・どんなことをするのか」ということについて説明します。
フェムケアを利用するときの注意点や、フェムテックとの違いについても解説するので参考にしてください♪
フェムケアとは何か。フェムテックとの違い
女性の健康・生活をサポートするためのもの
フェムケアとは「feminine(フェミニン)」と「care(ケア)」を組み合わせた言葉で、女性の健康や快適な生活をサポートする製品・サービスを指します。 主にデリケートゾーンのスキンケアに関するものですが、生理用品なども含まれます。
女性特有の身体的なニーズを満たすもの全般が、フェムケアであると考えてよいでしょう。 女性が自身の心身をすこやかに保つために、食事や運動などに気を使うことも、広い意味でのフェムケアといえます。
たとえば、女性の中にはホルモンバランスを整える目的で香りを楽しむ人がいますが、それも立派なフェムケアです。
フェムテックはテクノロジーを活用
フェムケアと似た言葉で、フェムテックという言葉も広まりつつあります。フェムテックは「feminine(フェミニン)」に「Tech(テック)」を組み合わせた言葉です。
女性の心身をサポートする目的はフェムケアと同じですが、フェムテックでは手段として、スマホアプリなどのテクノロジーを使用することが特徴です。
フェムケアの中でも、テクノロジーを介したものがフェムテックであると理解しておくとよいでしょう。
フェムケアで解決したい!女性に多い悩み
女性は思春期・成熟期・更年期・老年期と、一生の間にホルモンの分泌量が大きく変化していきます。妊娠・出産でもホルモンバランスが大きく変わりますし、平常時も生理周期によって、1ヶ月単位でホルモンバランスが変化します。
そのため、ホルモンバランスの健康への影響が男性よりも大きく、若いときから頭痛・便秘・肩こりなどの不調に悩まされる女性がとても多いのです。
近頃はこうした女性特有の体の悩みを解決したいと考える人が増えており、そのための商品・サービスがフェムケアとして注目されています。
月経にまつわるトラブル
生理のたびに、仕事や生活に支障をきたすほどの体調不良に見舞われる「月経困難症」に悩まされている女性は非常に多く、下腹部痛・腰痛・頭痛などの「生理痛」は代表的な症状です。
症状が重いケースでは、仕事や学業が困難になることもあります。
月経困難症は主に生理期間中に起こりますが、生理の3~7日前ほどに症状が表れる「月経前症候群(PMS)」というのもあります。過食・不眠・イライラなど症状は人によってさまざまですが、生理が始まると治まっていくのが特徴です。
月経困難症や月経前症候群の主な対策方法には、漢方薬や低用量ピルなどがあります。軽度の生理痛であれば市販の鎮痛剤で対応できることもありますが、症状が重い人は、一度婦人科医に相談してみるとよいでしょう。
「生理が重いと思ったら、子宮内膜症のせいだった」など、病気が隠れていることもあるので、きちんと診てもらうと安心です。
おりものなどによるニオイ・ムレ
おりものなどによるニオイ・ムレも、多くの女性が直面する悩みの一つ。特に性成熟期に当たる20~30代は女性ホルモンの分泌が多いため、膣内の分泌物やおりものも増えます。
皮脂分泌が活発な年頃であることや、汗・生理の影響もあり、この世代は特にデリケートゾーンのニオイやムレに悩まされがちです。
便秘
便秘も多くの女性が抱える悩みの一つです。女性の骨盤内には消化・排泄のための器官と一緒に子宮や卵巣も収まっているため、男性に比べてお腹のトラブルが起こりやすいといわれています。
また、女性は毎月の排卵日を境に、体が妊娠に備えようとします。その影響で腸の蠕ぜん動運動が抑制され、大腸内の水分も少なくなるため、生理前は特に便秘しやすくなります。
ダイエットなどで食事量が減ることも、便秘の原因です。
便秘を放置すると腸内環境が悪化し、肌荒れや肩こりなど別の症状も引き起こすため、早めのケアが大切です。食事内容の見直しや適度な運動など、できる範囲で対策していきましょう。
なお、便秘のほとんどは命の危険のないものですが、大腸がんの症状である場合や、腸閉塞・腹膜炎に発展する場合などもあるため、油断は禁物です。 長引くときや症状が重いときは我慢せず、内科や消化器内科を受診しましょう。
貧血
女性は毎月の月経で血液を失うため、男性に比べて貧血の人も多いです。貧血にはいくつかの種類がありますが、女性に多いのは、「鉄欠乏性貧血」です。
鉄分が不足することで起こるタイプの貧血で、生理のある20~40代の女性の65%程度が鉄欠乏性貧血だといわれています。
現代の日本人女性はもともと、鉄分の摂取量が必要量の6割程度と少ないことに加えて、行き過ぎた痩せ願望が、鉄分不足と貧血に拍車をかけています。
貧血はめまいなどの自覚症状がある人ばかりでなく、無症状の人や、通常の血液検査では異常が分からない「隠れ貧血」の人もたくさんいます。
隠れ貧血も体内の鉄分が不足していることには変わりないため、食事で鉄分を補うなどの対策が必要です。
肩こり
肩こりを訴える女性は男性のほぼ2倍といわれており、1割以上の女性が肩こりに苦しんでいるといいます。
肩こりの直接的な原因は血行不良ですが、血行不良に至る原因はさまざま。長時間のデスクワークやパソコン作業による血行不良は男性にも共通しますが、女性の場合はそうした原因に加えて、ホルモンバランスの変化も影響します。
女性ホルモンの分泌を司っているのは、脳の視床下部という部分です。視床下部は自律神経の調整を行う部位でもあるため、ホルモンの分泌量が変わることで、自律神経が乱れてしまうことがあります。
自律神経は血流を調節する役割があるので、ホルモンバランスの変化にともなって自律神経が乱れることが、女性の血行不良や肩こりの一要因となっているのです。
また、更年期による卵巣機能の低下や、月経前症候群でも肩こりが起こることもあります。
更年期障害
上でも少し触れましたが、更年期障害の症状として、肩こりやのぼせ、イライラなどが出る人も多いです。
更年期の時期や出方は人によって異なりますが、一般的には閉経の前後5年ほど、合計約10年といわれており、45~55歳頃に更年期を過ごす女性が多いとされています。
更年期に差し掛かると女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少し、その影響で自律神経も乱れやすくなります。そのため、自律神経の支配下にあるさまざまな機能を、適切にコントロールすることが難しくなってしまうのです。
さらに、更年期は両親の介護や子どもの独立など、心身に負担のかかるライフイベントが頻発するタイミングにも当たります。そのことも、この時期の女性の健康状態に少なからぬ影響を与えます。
更年期障害が辛い人は、婦人科で相談できます。医師が必要と認めれば、漢方薬の処方やホルモン補充療法などが受けられます。
骨粗しょう症・認知症など
骨粗しょう症や認知症も、女性の方がなりやすいといわれます。女性は男性に比べて生まれつきの骨量が少ないことに加えて、妊娠・授乳によるカルシウムの消費量が多く、さらに閉経に伴ってエストロゲンの分泌量が減少することも、骨粗しょう症のリスクを高めています。
認知症の発生率も、男性より女性の方が高いです。女性の方が長寿だからということもありますが、女性の認知症は閉経後に始まる傾向があることから、エストロゲンの減少が認知症の発症に関わっているのではという見方もあるようです。
また、世界的な傾向として、うつ病も女性の方が2倍ほど多いとされています。毎月のホルモンバランスの変化によるものや、産後うつ、更年期うつなどが知られています。
いずれの病気もQOLを著しく低下させるので、上手に予防したいところです。
尿漏れ
尿漏れに悩む女性も多いです。女性の尿漏れの主な原因は、「骨盤底筋群」と呼ばれる筋肉の緩みです。
「骨盤底筋群」は骨盤内の臓器を支えている筋肉で、妊娠・出産、加齢、肥満、閉経による女性ホルモンの低下などによって、筋力が低下することがあります。その結果、「くしゃみをしたときに腹圧で尿漏れする」、「尿意を感じてトイレに急いでも間に合わない」といった症状が出てしまうのです。
骨盤底筋群の緩み以外にも、病気などで脳と膀胱の情報伝達が上手くできない、ストレスなどの精神的な原因といった理由でも尿漏れが生じることがあります。
また、高齢になると子宮を支える靱帯や筋肉の緩みから、子宮下垂や子宮脱が起こることも。手術が必要になることもあるので、なるべく未然に防ぎたいですね。
避妊・妊活・不妊症
避妊・妊活・不妊症といった問題も、多くの女性を悩ませています。男性にも無関係ではありませんが、やはり女性の負担が大きい問題ではあることは間違いないでしょう。
特に避妊については男性任せにせず、女性が主体的に身を守るべきだという考え方が少しずつ広がり始めています。性感染症の予防とあわせて、自分で気を付けるようにしましょう。
フェムケアにはどんなものがある?
デリケートゾーン専用ソープ
フェムケアと聞いて多くの人が一番に思い浮かべるのは、デリケートゾーン専用ソープではないでしょうか。
デリケートゾーンとは、女性器とその周辺のことです。排泄器官が集まっている箇所で、汗腺・皮脂腺もあって不衛生になりやすいため、きちんと洗って清潔に保つことが大切です。
しかし、体と同じボディーソープで洗うのでは洗浄力が高すぎるため、皮膚炎などのトラブルのもとになってしまいます。 そこで、「デリケートゾーン専用ソープで洗うのがよい」といわれるようになったのです。
ただし、個人的には専用ソープの必要性には疑問も感じています。デリケートゾーン専用ソープはもともと欧米の習慣で、日本とは水質や入浴習慣が異なるからです。
ヨーロッパなど硬水の地域では毎日入浴することが難しいですが、多くの日本人は毎日お風呂に入りますし、家に温水便座がある人も多いでしょう。
そのため、日本に住んでいる人の場合は、お湯でよく洗うだけで足りることもありそうです。
デリケートゾーンの保湿
デリケートゾーンの保湿ということも言われるようになりました。顔と同じように、乾燥すると肌トラブルのもとになる、という理論です。
ですが、これも個人的には、本当に必要な人は限られるように思います。デリケートゾーンは体の中心部分で皮脂分泌が多く、ほぼ常に下着で保護されているため、全身の中でも比較的乾燥しにくい部位だからです。
少子高齢化で化粧品を使う人が少なくなったので、「一人が使う化粧品の種類や使用部位を増やしたい」という化粧品業界の思惑の影響も、皆無ではないでしょう。
乾燥を感じる人は保湿した方がよいですが、そうでないのなら様子を見てもよいかもしれません。
保湿する場合は低刺激処方のクリームなどを使用しましょう。粘膜に近い部位なので、刺激の強い成分が含まれているものは避けた方がよいです。デリケートゾーン専用の保湿アイテムも販売されています。
VIO脱毛
フェムケアという言葉が流行る以前から、日本でもVIO脱毛が一般化しました。生理時のムレの軽減や、下着や水着を美しく着こなすためなどの目的です。 VIO脱毛をしておくと、トイレのときにラクだという話も聞きます。
また、歳を取って介護されるようになったときのことを考えて、お世話してくれる人の負担を減らすために予めVIO脱毛しておこうと考える人も増えています。
ただし、こちらはVIO脱毛を恥ずかしく感じている人が、建前としてそう言っているだけの場合も少なくないようです。
本当に介護に備えたいだけであれば、その時期が近付くまで待ってみてもよいかもしれません。VIOのムダ毛は年齢が高くなると、老化現象で自動的に薄くなっていくこともあるからです。
その頃になってやっぱり脱毛が必要だということになった場合も、今より技術が進んだり料金が安くなったりしているかもしれません。
月経管理アプリ
生理がある人は、月経管理アプリを利用すると便利です。生理周期が把握しやすくなり、体調管理・スケジュール管理がスムーズになります。
「生理の予定をすっかり忘れていて、外出先で血みどろに・・・!」なんて失敗も回避できるはず。 排卵日を知らせてくれるものを選べば、妊活にも役立ちます。
今は種類も増えており、ルナルナやラルーンなどたくさんのアプリから選べます。それぞれ機能や使いやすさが異なるので、気に入るものを探してみるとよいでしょう。
自分に合った生理用品・下着
生理用品も、今はさまざまな種類から自分に合ったものを選べます。従来の使い捨てナプキンやタンポンの他に、月経カップや布ナプキンなども登場しているので、よさそうに思えるものがあれば試してみるとよいでしょう。
国内ではソフィから発売されている、デリケートゾーンに挟んで使うナプキン「シンクロフィット」も注目されています。
また、サニタリーショーツも進化しており、ショーツ自体に吸水性を持たせた「吸水ショーツ」もいろいろなメーカーから発売されています。単体で使えるとされますが、衛生面や漏れのリスクを考えると、ナプキンや月経カップと併用するのが安心です。
体によい食事・飲み物
女性に多い心身の不調の中には、食べ物や飲み物で対策できるものもあります。
例えばPMSで体の調子が悪いときはビタミンB群、イライラや気分の落ち込みにはカルシウムとマグネシウム、女性ホルモンの働きがイマイチなようならビタミンB6と亜鉛を摂取するのがよいとされます。
生理痛はホットドリンクで体を温めると、痛みが和らぐことがあります。カフェインを含むものは体を冷やすので避け、カモミールティーやジンジャーティーなどを飲むのが効果的です。
そして、貧血には鉄分。肉や魚に含まれるヘム鉄が吸収されやすいですが、食べられない人はほうれん草などの植物質に含まれる非ヘム鉄でもよいです。その場合は、ビタミンCを一緒に摂取すると吸収率が高まります。
なお、生理前・生理中は過食傾向になり、ジャンクなものばかり食べたくなることがあります。我慢しすぎもよくありませんが、暴飲暴食は体調を崩すもとなのでほどほどにしましょう。
適度な運動
適度な運動も、効果的なフェムケアの方法の一つです。女性の体はホルモンバランスの変化に伴い、自律神経も乱れがち。そのことがさまざまな不調を引き起こしますが、適度に体を動かすことは、自律神経を整えるのに役立ちます。
運動する習慣がない人や体力がない人も、ストレッチやウォーキングなどは比較的取り入れやすいと思います。いきなり長時間だと続きませんし、ケガの原因にもなるので、まずは短時間の軽い運動から始めてみるとよいでしょう。
適度な運動は、骨粗しょう症やうつ病の予防にもなります。
良質な睡眠
良質な睡眠も、自律神経を整えて心身のバランスを保つ上で欠かせません。自律神経は24時間休みなく働いていますが、就寝中が唯一、疲労した自律神経を回復させられるタイミングだからです。
もともと自律神経が乱れやすい女性の体にとっては、特に大切です。そういう意味では、睡眠に気を配ることもフェムケアといえるでしょう。
睡眠の質を改善する方法については、次の記事で詳しく紹介しています。
「眠りが浅い」「なかなか寝付けない」睡眠の質が低下する原因と改善方法
婦人科のかかりつけ医を作る
これまで述べたようにフェムケアにはさまざまな方法があり、それぞれ解決できる悩みが異なります。
ですが、フェムケアにおいてもっとも大切なのは、「婦人科のかかりつけ医を作っておくこと」ではないでしょうか。
生理やおりものの異常など、ちょっとした体調不良から定期健診まで、婦人科は女性の健康にとって重要な診療科目の一つ。とはいえ、心理的なハードルが高いこともあり、経産婦ですらかかりつけ医を持っていない女性がいます。
ですが、婦人科のかかりつけ医がいれば、例えばデリケートゾーンの正しい洗い方なども医学的見地からの意見が聞けるでしょう。
乳がんなどの重篤な病気の可能性が浮上したときや、妊娠・出産・不妊症について相談したいときも、初めての病院に行くより安心です。
鏡でデリケートゾーンをチェック
鏡でデリケートゾーンをチェックしておくのも、よい方法です。女性のデリケートゾーンは服を脱いでも通常の体勢では隠れてしまうため、銭湯などでも見る機会はほぼありません。
そのため、成人女性でも「女性器を見たことがない」という人もいます。これでは、いくらよい洗浄料などを買ったとしても、適切にケアできるとは思えません。
それに、自分がよく知らない器官をパートナーにゆだねるのも、考えてみればおかしな話です。
普段は見えないので存在を忘れがちですが、ときどき鏡でチェックして、様子を確認しましょう。内臓に近い容貌なので初対面のときはびっくりするかもしれませんが、そのうち見慣れます。
フェムケアの注意点
フェムケアの多くは「医療」ではない
フェムケアは生理時の不調や不快感の軽減をはじめ、女性がすこやかに過ごすことをサポートしてくれるものです。 ですが、フェムケアのほとんどは医療ではないため、対策として不十分なこともあります。
体の不調の背景に子宮・卵巣や甲状腺などの病気が隠れていることもあるため、症状の改善が見られないときは医療機関を受診するようにしましょう。
不要なものは無理に取り入れない
フェムケアという概念が知られるようになったことで、さまざまな商品やサービスが登場し、それらをおすすめするコンテンツも増えています。
ですが、必ずしもすべてを取り入れないといけないわけではありません。人によっては、「なくても困らないもの・使いにくいと感じるもの」もあるでしょう。
自分には合わない・必要ないと思うものは、無理に取り入れる必要はありません。
まとめ
フェムケアとは、女性の健康や快適な生活をサポートする製品・サービスを指します。主にデリケートゾーンのスキンケアに関するものですが、女性特有の身体的なニーズを満たすもの全般が、フェムケアであると考えてよいでしょう。
フェムケアの中でもテクノロジーを介したものは、フェムテックと呼ばれます。
フェムケアは女性のさまざまな悩みを解決・軽減するのに役立ちますが、その多くが医療ではない点に注意が必要です。 症状が改善しないときは病気の可能性もあるので、自己判断せず医療機関を受診しましょう。



















