フェムケアとは何をすればいいの?フェムテックとの違い・注意点

この記事を書いた人
小鳥遊 文子
コスメコンシェルジュ

【保有資格】 ・2022年~:日本化粧品検定1級 ・2023年~:特級コスメコンシェルジュ/化粧品成分上級スペシャリスト(化粧品成分検定1級) 化粧品を信仰しない、フラットな目線からの記事作成を心掛けています。

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近頃チラホラと耳にするようになった、「フェムケア」。「欧米では常識です」という文脈で語られることも多いため、何となく意識が高そうなイメージがありますが、フェムケアとはどんなものなのでしょうか?

ここではフェムケアに興味がある人のために、「フェムケアとは何か・どんなことをするのか」ということについて説明します。

フェムケアを利用するときの注意点や、フェムテックとの違いについても解説するので参考にしてください♪

フェムケアとは何か。フェムテックとの違い

女性の健康・生活をサポートするためのもの

生理用品と女性用ショーツ

フェムケアとは「feminine(フェミニン)」と「care(ケア)」を組み合わせた言葉で、女性の健康や快適な生活をサポートする製品・サービスを指します。 主にデリケートゾーンのスキンケアに関するものですが、生理用品なども含まれます。

女性特有の身体的なニーズを満たすもの全般が、フェムケアであると考えてよいでしょう。 女性が自身の心身をすこやかに保つために、食事や運動などに気を使うことも、広い意味でのフェムケアといえます。

たとえば、女性の中にはホルモンバランスを整える目的で香りを楽しむ人がいますが、それも立派なフェムケアです。

フェムテックはテクノロジーを活用

フェムテックのイメージ

フェムケアと似た言葉で、フェムテックという言葉も広まりつつあります。フェムテックは「feminine(フェミニン)」に「Tech(テック)」を組み合わせた言葉です。

女性の心身をサポートする目的はフェムケアと同じですが、フェムテックでは手段として、スマホアプリなどのテクノロジーを使用することが特徴です。

フェムケアの中でも、テクノロジーを介したものがフェムテックであると理解しておくとよいでしょう。

フェムケアで解決したい!女性に多い悩み

女性は思春期・成熟期・更年期・老年期と、一生の間にホルモンの分泌量が大きく変化していきます。妊娠・出産でもホルモンバランスが大きく変わりますし、平常時も生理周期によって、1ヶ月単位でホルモンバランスが変化します。

そのため、ホルモンバランスの健康への影響が男性よりも大きく、若いときから頭痛・便秘・肩こりなどの不調に悩まされる女性がとても多いのです。

近頃はこうした女性特有の体の悩みを解決したいと考える人が増えており、そのための商品・サービスがフェムケアとして注目されています。

月経にまつわるトラブル

生理のたびに、仕事や生活に支障をきたすほどの体調不良に見舞われる「月経困難症」に悩まされている女性は非常に多く、下腹部痛・腰痛・頭痛などの「生理痛」は代表的な症状です。

症状が重いケースでは、仕事や学業が困難になることもあります。

月経困難症は主に生理期間中に起こりますが、生理の3~7日前ほどに症状が表れる「月経前症候群(PMS)」というのもあります。過食・不眠・イライラなど症状は人によってさまざまですが、生理が始まると治まっていくのが特徴です。

月経困難症や月経前症候群の主な対策方法には、漢方薬や低用量ピルなどがあります。軽度の生理痛であれば市販の鎮痛剤で対応できることもありますが、症状が重い人は、一度婦人科医に相談してみるとよいでしょう。

「生理が重いと思ったら、子宮内膜症のせいだった」など、病気が隠れていることもあるので、きちんと診てもらうと安心です。

おりものなどによるニオイ・ムレ

おりものなどによるニオイ・ムレも、多くの女性が直面する悩みの一つ。特に性成熟期に当たる20~30代は女性ホルモンの分泌が多いため、膣内の分泌物やおりものも増えます。

皮脂分泌が活発な年頃であることや、汗・生理の影響もあり、この世代は特にデリケートゾーンのニオイやムレに悩まされがちです。

便秘

便秘も多くの女性が抱える悩みの一つです。女性の骨盤内には消化・排泄のための器官と一緒に子宮や卵巣も収まっているため、男性に比べてお腹のトラブルが起こりやすいといわれています。

また、女性は毎月の排卵日を境に、体が妊娠に備えようとします。その影響で腸の蠕ぜん動運動が抑制され、大腸内の水分も少なくなるため、生理前は特に便秘しやすくなります

ダイエットなどで食事量が減ることも、便秘の原因です。

便秘を放置すると腸内環境が悪化し、肌荒れや肩こりなど別の症状も引き起こすため、早めのケアが大切です。食事内容の見直しや適度な運動など、できる範囲で対策していきましょう。

なお、便秘のほとんどは命の危険のないものですが、大腸がんの症状である場合や、腸閉塞・腹膜炎に発展する場合などもあるため、油断は禁物です。 長引くときや症状が重いときは我慢せず、内科や消化器内科を受診しましょう。

貧血

女性は毎月の月経で血液を失うため、男性に比べて貧血の人も多いです。貧血にはいくつかの種類がありますが、女性に多いのは、「鉄欠乏性貧血」です。

鉄分が不足することで起こるタイプの貧血で、生理のある20~40代の女性の65%程度が鉄欠乏性貧血だといわれています。

現代の日本人女性はもともと、鉄分の摂取量が必要量の6割程度と少ないことに加えて、行き過ぎた痩せ願望が、鉄分不足と貧血に拍車をかけています。

貧血はめまいなどの自覚症状がある人ばかりでなく、無症状の人や、通常の血液検査では異常が分からない「隠れ貧血」の人もたくさんいます。

隠れ貧血も体内の鉄分が不足していることには変わりないため、食事で鉄分を補うなどの対策が必要です。

肩こり

肩こりを訴える女性は男性のほぼ2倍といわれており、1割以上の女性が肩こりに苦しんでいるといいます。

肩こりの直接的な原因は血行不良ですが、血行不良に至る原因はさまざま。長時間のデスクワークやパソコン作業による血行不良は男性にも共通しますが、女性の場合はそうした原因に加えて、ホルモンバランスの変化も影響します。

女性ホルモンの分泌を司っているのは、脳の視床下部という部分です。視床下部は自律神経の調整を行う部位でもあるため、ホルモンの分泌量が変わることで、自律神経が乱れてしまうことがあります。

自律神経は血流を調節する役割があるので、ホルモンバランスの変化にともなって自律神経が乱れることが、女性の血行不良や肩こりの一要因となっているのです。

また、更年期による卵巣機能の低下や、月経前症候群でも肩こりが起こることもあります。

更年期障害

上でも少し触れましたが、更年期障害の症状として、肩こりやのぼせ、イライラなどが出る人も多いです。

更年期の時期や出方は人によって異なりますが、一般的には閉経の前後5年ほど、合計約10年といわれており、45~55歳頃に更年期を過ごす女性が多いとされています。

更年期に差し掛かると女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少し、その影響で自律神経も乱れやすくなります。そのため、自律神経の支配下にあるさまざまな機能を、適切にコントロールすることが難しくなってしまうのです。

さらに、更年期は両親の介護や子どもの独立など、心身に負担のかかるライフイベントが頻発するタイミングにも当たります。そのことも、この時期の女性の健康状態に少なからぬ影響を与えます。

更年期障害が辛い人は、婦人科で相談できます。医師が必要と認めれば、漢方薬の処方やホルモン補充療法などが受けられます。

骨粗しょう症・認知症など

骨粗しょう症や認知症も、女性の方がなりやすいといわれます。女性は男性に比べて生まれつきの骨量が少ないことに加えて、妊娠・授乳によるカルシウムの消費量が多く、さらに閉経に伴ってエストロゲンの分泌量が減少することも、骨粗しょう症のリスクを高めています。

認知症の発生率も、男性より女性の方が高いです。女性の方が長寿だからということもありますが、女性の認知症は閉経後に始まる傾向があることから、エストロゲンの減少が認知症の発症に関わっているのではという見方もあるようです。

また、世界的な傾向として、うつ病も女性の方が2倍ほど多いとされています。毎月のホルモンバランスの変化によるものや、産後うつ、更年期うつなどが知られています。

いずれの病気もQOLを著しく低下させるので、上手に予防したいところです。

尿漏れ

尿漏れに悩む女性も多いです。女性の尿漏れの主な原因は、「骨盤底筋群」と呼ばれる筋肉の緩みです。

「骨盤底筋群」は骨盤内の臓器を支えている筋肉で、妊娠・出産、加齢、肥満、閉経による女性ホルモンの低下などによって、筋力が低下することがあります。その結果、「くしゃみをしたときに腹圧で尿漏れする」、「尿意を感じてトイレに急いでも間に合わない」といった症状が出てしまうのです。

骨盤底筋群の緩み以外にも、病気などで脳と膀胱の情報伝達が上手くできない、ストレスなどの精神的な原因といった理由でも尿漏れが生じることがあります。

また、高齢になると子宮を支える靱帯や筋肉の緩みから、子宮下垂や子宮脱が起こることも。手術が必要になることもあるので、なるべく未然に防ぎたいですね。

避妊・妊活・不妊症

避妊・妊活・不妊症といった問題も、多くの女性を悩ませています。男性にも無関係ではありませんが、やはり女性の負担が大きい問題ではあることは間違いないでしょう。

特に避妊については男性任せにせず、女性が主体的に身を守るべきだという考え方が少しずつ広がり始めています。性感染症の予防とあわせて、自分で気を付けるようにしましょう。

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