「ちょっとの刺激で肌がピリピリしてしまう」、「いつも肌荒れしていて、メイクやスキンケアが楽しめない」。
何かとトラブルが起こりやすく、扱いにくい「敏感肌」。お手入れの仕方やスキンケアの選び方も、何が正しいのか迷いがちですよね。
ここでは、敏感肌のための正しいお手入れの方法とスキンケアの選び方について、コスメコンシェルジュの知見から解説します。
敏感肌のスキンケアについて知りたい人は、参考にしてください♪
そもそも敏感肌とは?
バリア機能が低下し、刺激に過敏な肌状態
明確な定義はないが、バリア機能が低下し、刺激に対して過敏な肌状態
実は「敏感肌」というのは俗称であり、疾患名ではないため、皮膚科学的な定義はありません。一般的には、バリア機能が低下し、刺激に対して過敏になった肌を「敏感肌」と呼ぶことが多いです。
刺激に対する感受性を基準にした場合、肌の状態は大まかに4段階に分けられます。
- 疾患肌:アトピー性皮膚炎や光線過敏症などの皮膚疾患がある状態。改善には医療機関での治療が必要。
- 敏感肌:紫外線や化粧品、空気中のチリなど、多くの人にとって問題のない物質に対して、過敏に反応してしまう肌状態。
- 不安定肌:一時的に敏感傾向になっている肌状態。疲労、睡眠不足、生理、季節の変わり目などによって起こる。「ゆらぎ肌」と呼ばれることも。
- 健常肌:健康な肌状態。キメが整ってうるおいがあり、ハリ・つや・弾力が感じられる。
顔だけでなく、体や頭皮に症状が出ることも
敏感肌は顔だけでなく、体や頭皮にも症状が出ることがあります。特に冬は肌が乾燥するため、背中や足などが痒くなる、乾性フケが増えるなどのトラブルが起こりやすくなります。
敏感肌には5つのタイプがある
- 乾燥性敏感肌:バリア機能の低下が原因
- アレルギー性敏感肌:アレルギー反応が原因
- 接触性敏感肌:化粧品・衣類・洗剤などの刺激が原因
- 環境要因による敏感肌:季節の変わり目や紫外線、エアコンなどの環境が原因
- ニキビ・脂性敏感肌:皮脂バランスの乱れが原因
一口に敏感肌といっても、原因や症状はさまざま。大きく5つのタイプに分けられるので、自分がどのタイプに当てはまるかを見極めることが、適切な対策への第一歩です。
乾燥性敏感肌
セラミド、ヘパリン類似物質、ヒアルロン酸
乾燥によって、肌のバリア機能が低下することで起こるのが「乾燥性敏感肌」です。肌の水分・油分が不足し、角質細胞の間を埋めているセラミドも不足した状態です。自覚症状としては、粉吹きや肌のつっぱり感などがあります。
対策は肌の乾燥を防ぎ、うるおいを与えるのが効果的です。特にセラミドやヘパリン類似物質が配合された美容液やクリームは、保湿効果が高くおすすめです。
アレルギー性敏感肌
抗炎症成分(グリチルリチン酸、アラントインなど)
「アレルギー性敏感肌」は、アレルギーを原因とするタイプの敏感肌です。花粉、ハウスダスト、金属などのアレルゲンによって起こります。症状は赤み、かゆみ、ヒリヒリ感、乾燥、かぶれ、湿疹など。
対策としては身の回りからアレルゲンを排除することが重要ですが、それに加えて抗炎症成分が配合されたスキンケアを使用することでも、肌の炎症を抑えられることがあります。化粧水や美容液を選ぶときは、グリチルリチン酸ジカリウムなどの抗炎症成分を有効成分とする、薬用化粧品に注目してみるとよいでしょう。
接触性敏感肌
刺激になりやすい成分が少なく、シンプルな処方のもの
化粧品・衣類・洗剤など特定の物質に触れることで起こるのが、「接触性敏感肌」です。刺激反応によるものとアレルギー反応によるものがあり、痒み・かぶれ・発疹などの症状が見られます。
接触性敏感肌は化粧品の成分でも症状が出ることがあるため、アルコールや香料などの刺激になりやすい成分を避け、なるべくシンプルな処方の化粧品を選ぶとよいです。
環境要因による敏感肌
セラミド、ナイアシンアミド
季節の変わり目や紫外線、エアコンなどの環境的な要因で肌荒れするタイプの敏感肌です。寒暖差や花粉、乾燥、PM2.5などの外部刺激に弱い肌質のため、バリア機能をサポートするセラミドやナイアシンアミドなどが含まれるスキンケアでお手入れするとよいです。
ニキビ・脂性敏感肌
サリチル酸、グリチルリチン酸、ナイアシンアミド(2%以上)
皮脂トラブルによって起こるのが「ニキビ・脂性敏感肌」です。ベタつくのにカサつくタイプの肌質で、ニキビや毛穴詰まりをくり返しがちです。
過剰な皮脂分泌によってニキビや炎症などのトラブルが起こるため、グリチルリチン酸などの抗炎症成分や、皮脂コントロール成分が配合されたスキンケアを選ぶとよいでしょう。皮脂コントロール成分は、高濃度のナイアシンアミドなどが手に入りやすいです。
ナイアシンアミドは濃度表示がされているものか、または有効成分として配合されているものを選ぶとよいでしょう。
また、角質肥厚が見られるようなら、角質剥離作用を持つサリチル酸もおすすめです。
敏感肌に負担をかけないスキンケアのコツ
摩擦などの刺激を避け、乾燥を防ぐ
可能な限り、肌への刺激を避ける
敏感肌はどのタイプも、バリア機能が低下して刺激に弱くなった状態です。そのため、洗顔やスキンケア、メイクをするときは、肌を刺激しないことが大切です。
摩擦や刺激の強い成分など、肌に負担をかけるものはなるべく避けましょう。
また、バリア機能の低下によって肌内部の水分が蒸発しやすくなっているため、乾燥を防ぐことも大切です。
メイク落とし・洗顔は擦らず短時間で
メイク落としや洗顔をするときは、擦らず短時間で終わらせることがポイントです。
メイク落としは「乳化」させてからすすぐ
クレンジング料は2分以内に洗い流す
メイク落としをするときは、クレンジング料を肌に乗せるのは長くても2分まで。マスカラなどのポイントメイクは、先にポイントメイク落としで拭き取っておきましょう。
クレンジング料をやさしく肌に伸ばしてメイクとなじませたら、すすぐ前に「乳化」を行います。やり方は手のひらを濡らし、ハンドプレスで顔全体に水分を行きわたらせることで、クレンジング料を「乳化」させます。小鼻などの細かいところも忘れずに、指を使って乳化させましょう。
「乳化」のひと手間を加えることでメイクが浮き上がるので、擦らなくても汚れが落としやすくなります。
乳化が済んだら、すすぎます。すすぎにつかうのは、水またはぬるま湯です。体温より温度の高いお湯は肌を乾燥させるので避けましょう。生え際やフェイスラインも鏡で確認しながら、しっかりすすぎます。
洗顔は「泡」で押し洗いする
泡で押し洗い。肌に直接手で触らない
洗顔は洗顔料をよく泡立てて、弾力のあるもっちりとした泡を作ることがコツです。目安は、手のひらを逆さにしても落ちない泡が理想です。荒い泡よりもきめ細かい泡の方が汚れがよく落ちるので、しっかり泡立てましょう。
泡立てが苦手な人は、泡立てネットを使うか、泡で出てくるタイプの洗顔料を使用してもよいです。
泡が作れたら肌に広げて、手が直接肌に触れないくらい、厚い泡で押し洗いしていきます。こうすることで摩擦を避けられて、汚れも浮きやすくなります。
泡を肌に乗せるのは、最大2分まで。肌を乾燥させるので、泡パックは禁物です。
小鼻などの細かいところまで洗えたら、水またはぬるま湯でよくすすぎます。生え際やフェイスラインはすすぎ残しが出やすいので、鏡で確認しながらすすぎましょう。
すすぎ終えたらタオルで水気を拭きますが、このときも肌をこすらず、タオルを軽く肌に当てるようにして水分を吸わせます。
化粧水はコットンを使わず、手でなじませる
化粧水は肌の上に乗っていればOK!
敏感肌のお手入れでは、化粧水はコットンを使わずに、手でなじませる方が肌への負担が少ないです。コットンは繊維が刺激になることがあるため、肌が不安定なときは使用を控えた方がよいでしょう。
商品にもよりますが、化粧水は500円玉大が1回分の目安です。テクスチャーなどによって一度に手に取れないときは、2回に分けてなじませてもよいです。
化粧水を手に取ったら、ハンドプレスでやさしく肌になじませます。肌を叩いたり擦ったりする必要は、ありません。化粧水は肌の上に乗っていれば十分ですので、肌の奥に押し込む必要もありません。刺激になる動作は避けましょう。
美容液やクリームは手のひらに広げてハンドプレス
美容液やクリームはすり込まない
美容液やクリームは、手のひらに広げたものをハンドプレスでやさしくなじます。こうすると、摩擦を最小限に抑えることができます。力を入れてすり込む必要はありません。
紫外線対策をする
日焼け止めクリームはスタンプを押すように広げる
敏感肌は刺激に弱い肌状態ですが、日常生活で肌への刺激となり得るものの一つに、「紫外線」があります。敏感肌は紫外線に対する感受性も高まっている状態のため、紫外線から肌を守ることも大切です。
日焼け止めクリームや日傘、帽子、衣類などを上手に利用して、過度な紫外線を浴びないようにしましょう。
日焼け止めクリームを塗るときは、両手の人差し指~薬指に広げてから、スタンプを押すように肌に置いていくと摩擦を防げます。1回の目安量は、クリームタイプはパール粒2つ分。乳液タイプなら1円玉2枚分です。
これを半量ずつ2回に分けて重ね塗りします。最初に塗ったクリームが乾いてから、2回目を塗りましょう。
特に紫外線が当たりやすい頬~こめかみ・鼻筋は、もう一度重ね塗りするとより効果的です。時間が経ったときや汗をかいたときは、こまめに塗り直しましょう。