フェムケアとは何をすればいいの?フェムテックとの違い・注意点

この記事を書いた人
小鳥遊 文子
コスメコンシェルジュ

【保有資格】 ・2022年~:日本化粧品検定1級 ・2023年~:特級コスメコンシェルジュ/化粧品成分上級スペシャリスト(化粧品成分検定1級) 化粧品を信仰しない、フラットな目線からの記事作成を心掛けています。

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フェムケアにはどんなものがある?

デリケートゾーン専用ソープ

フェムケアと聞いて多くの人が一番に思い浮かべるのは、デリケートゾーン専用ソープではないでしょうか。

デリケートゾーンとは、女性器とその周辺のことです。排泄器官が集まっている箇所で、汗腺・皮脂腺もあって不衛生になりやすいため、きちんと洗って清潔に保つことが大切です。

しかし、体と同じボディーソープで洗うのでは洗浄力が高すぎるため、皮膚炎などのトラブルのもとになってしまいます。 そこで、「デリケートゾーン専用ソープで洗うのがよい」といわれるようになったのです。

ただし、個人的には専用ソープの必要性には疑問も感じていますデリケートゾーン専用ソープはもともと欧米の習慣で、日本とは水質や入浴習慣が異なるからです。

ヨーロッパなど硬水の地域では毎日入浴することが難しいですが、多くの日本人は毎日お風呂に入りますし、家に温水便座がある人も多いでしょう。

そのため、日本に住んでいる人の場合は、お湯でよく洗うだけで足りることもありそうです。

>>デリケートゾーンのフェムケアにおすすめの商品5選

デリケートゾーンの保湿

デリケートゾーンの保湿ということも言われるようになりました。顔と同じように、乾燥すると肌トラブルのもとになる、という理論です。

ですが、これも個人的には、本当に必要な人は限られるように思います。デリケートゾーンは体の中心部分で皮脂分泌が多く、ほぼ常に下着で保護されているため、全身の中でも比較的乾燥しにくい部位だからです。

少子高齢化で化粧品を使う人が少なくなったので、「一人が使う化粧品の種類や使用部位を増やしたい」という化粧品業界の思惑の影響も、皆無ではないでしょう。

乾燥を感じる人は保湿した方がよいですが、そうでないのなら様子を見てもよいかもしれません。

保湿する場合は低刺激処方のクリームなどを使用しましょう。粘膜に近い部位なので、刺激の強い成分が含まれているものは避けた方がよいです。デリケートゾーン専用の保湿アイテムも販売されています。

VIO脱毛

フェムケアという言葉が流行る以前から、日本でもVIO脱毛が一般化しました。生理時のムレの軽減や、下着や水着を美しく着こなすためなどの目的です。 VIO脱毛をしておくと、トイレのときにラクだという話も聞きます。

また、歳を取って介護されるようになったときのことを考えて、お世話してくれる人の負担を減らすために予めVIO脱毛しておこうと考える人も増えています。

ただし、こちらはVIO脱毛を恥ずかしく感じている人が、建前としてそう言っているだけの場合も少なくないようです。

本当に介護に備えたいだけであれば、その時期が近付くまで待ってみてもよいかもしれません。VIOのムダ毛は年齢が高くなると、老化現象で自動的に薄くなっていくこともあるからです。

その頃になってやっぱり脱毛が必要だということになった場合も、今より技術が進んだり料金が安くなったりしているかもしれません。

月経管理アプリ

生理がある人は、月経管理アプリを利用すると便利です。生理周期が把握しやすくなり、体調管理・スケジュール管理がスムーズになります。

「生理の予定をすっかり忘れていて、外出先で血みどろに・・・!」なんて失敗も回避できるはず。 排卵日を知らせてくれるものを選べば、妊活にも役立ちます。

今は種類も増えており、ルナルナやラルーンなどたくさんのアプリから選べます。それぞれ機能や使いやすさが異なるので、気に入るものを探してみるとよいでしょう。

自分に合った生理用品・下着

生理用品も、今はさまざまな種類から自分に合ったものを選べます。従来の使い捨てナプキンやタンポンの他に、月経カップや布ナプキンなども登場しているので、よさそうに思えるものがあれば試してみるとよいでしょう。

国内ではソフィから発売されている、デリケートゾーンに挟んで使うナプキン「シンクロフィット」も注目されています。

また、サニタリーショーツも進化しており、ショーツ自体に吸水性を持たせた「吸水ショーツ」もいろいろなメーカーから発売されています。単体で使えるとされますが、衛生面や漏れのリスクを考えると、ナプキンや月経カップと併用するのが安心です。

体によい食事・飲み物

女性に多い心身の不調の中には、食べ物や飲み物で対策できるものもあります

例えばPMSで体の調子が悪いときはビタミンB群、イライラや気分の落ち込みにはカルシウムとマグネシウム、女性ホルモンの働きがイマイチなようならビタミンB6と亜鉛を摂取するのがよいとされます。

生理痛はホットドリンクで体を温めると、痛みが和らぐことがあります。カフェインを含むものは体を冷やすので避け、カモミールティーやジンジャーティーなどを飲むのが効果的です。

そして、貧血には鉄分。肉や魚に含まれるヘム鉄が吸収されやすいですが、食べられない人はほうれん草などの植物質に含まれる非ヘム鉄でもよいです。その場合は、ビタミンCを一緒に摂取すると吸収率が高まります。

なお、生理前・生理中は過食傾向になり、ジャンクなものばかり食べたくなることがあります。我慢しすぎもよくありませんが、暴飲暴食は体調を崩すもとなのでほどほどにしましょう。

適度な運動

適度な運動も、効果的なフェムケアの方法の一つです。女性の体はホルモンバランスの変化に伴い、自律神経も乱れがち。そのことがさまざまな不調を引き起こしますが、適度に体を動かすことは、自律神経を整えるのに役立ちます

運動する習慣がない人や体力がない人も、ストレッチやウォーキングなどは比較的取り入れやすいと思います。いきなり長時間だと続きませんし、ケガの原因にもなるので、まずは短時間の軽い運動から始めてみるとよいでしょう。

適度な運動は、骨粗しょう症やうつ病の予防にもなります。

良質な睡眠

良質な睡眠も、自律神経を整えて心身のバランスを保つ上で欠かせません。自律神経は24時間休みなく働いていますが、就寝中が唯一、疲労した自律神経を回復させられるタイミングだからです。

もともと自律神経が乱れやすい女性の体にとっては、特に大切です。そういう意味では、睡眠に気を配ることもフェムケアといえるでしょう。

睡眠の質を改善する方法については、次の記事で詳しく紹介しています。

「眠りが浅い」「なかなか寝付けない」睡眠の質が低下する原因と改善方法

婦人科のかかりつけ医を作る

これまで述べたようにフェムケアにはさまざまな方法があり、それぞれ解決できる悩みが異なります。

ですが、フェムケアにおいてもっとも大切なのは、「婦人科のかかりつけ医を作っておくこと」ではないでしょうか。

生理やおりものの異常など、ちょっとした体調不良から定期健診まで、婦人科は女性の健康にとって重要な診療科目の一つ。とはいえ、心理的なハードルが高いこともあり、経産婦ですらかかりつけ医を持っていない女性がいます。

ですが、婦人科のかかりつけ医がいれば、例えばデリケートゾーンの正しい洗い方なども医学的見地からの意見が聞けるでしょう。

乳がんなどの重篤な病気の可能性が浮上したときや、妊娠・出産・不妊症について相談したいときも、初めての病院に行くより安心です。

鏡でデリケートゾーンをチェック

鏡でデリケートゾーンをチェックしておくのも、よい方法です。女性のデリケートゾーンは服を脱いでも通常の体勢では隠れてしまうため、銭湯などでも見る機会はほぼありません。

そのため、成人女性でも「女性器を見たことがない」という人もいます。これでは、いくらよい洗浄料などを買ったとしても、適切にケアできるとは思えません。

それに、自分がよく知らない器官をパートナーにゆだねるのも、考えてみればおかしな話です。

普段は見えないので存在を忘れがちですが、ときどき鏡でチェックして、様子を確認しましょう。内臓に近い容貌なので初対面のときはびっくりするかもしれませんが、そのうち見慣れます。

フェムケアの注意点

フェムケアの多くは「医療」ではない

フェムケアは生理時の不調や不快感の軽減をはじめ、女性がすこやかに過ごすことをサポートしてくれるものです。 ですが、フェムケアのほとんどは医療ではないため、対策として不十分なこともあります

体の不調の背景に子宮・卵巣や甲状腺などの病気が隠れていることもあるため、症状の改善が見られないときは医療機関を受診するようにしましょう。

不要なものは無理に取り入れない

フェムケアという概念が知られるようになったことで、さまざまな商品やサービスが登場し、それらをおすすめするコンテンツも増えています。

ですが、必ずしもすべてを取り入れないといけないわけではありません。人によっては、「なくても困らないもの・使いにくいと感じるもの」もあるでしょう。

自分には合わない・必要ないと思うものは、無理に取り入れる必要はありません

まとめ

フェムケアとは、女性の健康や快適な生活をサポートする製品・サービスを指します。主にデリケートゾーンのスキンケアに関するものですが、女性特有の身体的なニーズを満たすもの全般が、フェムケアであると考えてよいでしょう。

フェムケアの中でもテクノロジーを介したものは、フェムテックと呼ばれます。

フェムケアは女性のさまざまな悩みを解決・軽減するのに役立ちますが、その多くが医療ではない点に注意が必要です。 症状が改善しないときは病気の可能性もあるので、自己判断せず医療機関を受診しましょう。




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