化粧品に含まれる高分子ヒアルロン酸の効果は?低分子ヒアルロン酸とはどう違うの?

この記事を書いた人
小鳥遊 文子
コスメコンシェルジュ

【保有資格】 ・2022年~:日本化粧品検定1級 ・2023年~:特級コスメコンシェルジュ/化粧品成分上級スペシャリスト(化粧品成分検定1級) 化粧品を信仰しない、フラットな目線からの記事作成を心掛けています。

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私は最近、化粧品成分について学ぶ中で、「高分子ヒアルロン酸」という言葉に出会いました。ヒアルロン酸といえば代表的な保湿成分の一つですが、「高分子」と付くと途端にどういうものか分からなくなりませんか?それに、確か「低分子」という言葉もあったはず・・・。

「高分子ヒアルロン酸」とはいったい何なのか?「低分子ヒアルロン酸」とはどう違うのか?

そんな疑問を解決したくて詳しく調べましたので、今回はその内容を紹介します。化粧品に含まれるヒアルロン酸について知りたい人は、参考にしてください♪



高分子ヒアルロン酸とは?

高分子ヒアルロン酸の特徴

 

高分子ヒアルロン酸とは、ムコ多糖類の一種です。簡単にいうと納豆やオクラなどの「ネバネバ」の主成分で、水に溶けやすい性質を持ちます。

自然界にもともとあるもので、人間の体内にもいたるところに存在します。特に目・皮膚のうるおいや、関節のなめらかな動きに大きく関わっており、人体の機能を正常に保つ上で欠かせない成分の一つです。

ちなみに「高分子」とは、分子量が大きいことを意味します。したがって「高分子ヒアルロン酸」をもう少し化学っぽく説明するなら、「分子がたくさんつながったヒアルロン酸」ということになります。

高分子ヒアルロン酸の効果

高分子ヒアルロン酸の特徴は、高い保水力。ヒアルロン酸は分子量が大きくなるほど、水分を抱え込む力が高くなります。

また、分子量が大きいので、肌に塗っても角質に浸透しません。そのため、肌表面にうるおいの膜を張って保護し、内部の水分の蒸発を防ぐ効果があります。



低分子ヒアルロン酸とは?

低分子ヒアルロン酸の特徴

低分子ヒアルロン酸とは、自然界に存在する「高分子ヒアルロン酸」に人工的に手を加えることで、分子量を小さくしたものです。

低分子ヒアルロン酸の効果

低分子ヒアルロン酸は分子量が小さいため、肌に塗ったときに角層に浸透しやすい特徴があります。そのため、スキンケアなどに配合すると、肌の内側からうるおう効果が期待できます



高分子ヒアルロン酸と低分子ヒアルロン酸の違いとは?

一番の違いは「分子量」

高分子ヒアルロン酸と低分子ヒアルロン酸のもっとも大きな違いは、「分子量」です。

高分子ヒアルロン酸は分子がたくさんつながっていて大きく、低分子ヒアルロン酸は分子が少ししかないので小さいです。

真珠のネックレスまるごとが高分子ヒアルロン酸」、「ネックレスをブチブチと短く切って、真珠数個ずつの長さにバラしたものが低分子ヒアルロン酸」と考えると分かりやすいでしょう。

使用感と効果も違う

ヒアルロン酸の分子量によって、使用感も異なります。高分子ヒアルロン酸は「しっとり」低分子ヒアルロン酸は「さっぱり」した感触です。

また、高分子ヒアルロン酸は分子量が大きく分解されにくいため、保湿効果を長く持続させたいときに向いています。

一方、低分子ヒアルロン酸は角層の内部までうるおいを届けることができますが、高分子ヒアルロン酸のように肌表面に保護膜を作ることはできません。また、高分子ヒアルロン酸に比べて分解されるスピードが速いため、効果の持続時間も劣ります。



ヒアルロン酸の種類

化粧品の成分表示を見て、「ヒアルロン酸Naと加水分解ヒアルロン酸はどう違うの?どうして両方配合されているの?」などと疑問に思ったことはないでしょうか?

ヒアルロン酸は「どんな状態に加工されているか」によっていくつかの種類があり、種類によって特徴や効果が異なります

そのため、化粧品では配合する目的によって複数のヒアルロン酸が使い分けられており、2種類以上のヒアルロン酸が同時に配合されることもあります。

【ヒアルロン酸の種類】

  • ヒアルロン酸Na
  • 加水分解ヒアルロン酸
  • アセチルヒアルロン酸Na
  • ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム

ヒアルロン酸Na

高分子ヒアルロン酸と呼ばれるもので、肌表面にうるおいの保護膜を作ります。化粧水などに配合すると、ごく少量であってもとろみが出ます。分子量が大きなものほど、粘り気が強くなります。

化粧品に配合されるヒアルロン酸としてはもっとも多く利用される種類で、単に「ヒアルロン酸」というときは、このヒアルロン酸Naを指す場合が多いです。

なお、化粧品の成分表示では「ヒアルロン酸Na」と記載しますが、薬用化粧品では「ヒアルロン酸ナトリウム」と記載する決まりになっています。

加水分解ヒアルロン酸

低分子ヒアルロン酸と呼ばれるもので、上のヒアルロン酸Naを分解して小さくしたものです。「浸透型ヒアルロン酸」と呼ばれることも。

アセチルヒアルロン酸Na

水に溶けやすいヒアルロン酸Naに油性成分をくっつけることで、水になじみやすい部品と油になじみやすい部品を持たせています。

肌なじみがよく、保水力と柔軟性もヒアルロン酸Naよりすぐれています。ヒアルロン酸Naの約2倍の保水力を持つことから、「スーパーヒアルロン酸」とも呼ばれています。

ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム

「+」の電気を持たせることで、肌や髪に残りやすくしたヒアルロン酸です。髪にしっかり吸着されてキューティクルを剥がれにくくするため、ヘアトリートメントに使用されます。

化粧下地などの肌に塗る製品にも使用されることがありますが、+に帯電することで皮膚刺激が強くなっているため、毛髪以外への使用は控えた方がよいでしょう。



ヒアルロン酸配合の化粧品の選び方

どの種類のヒアルロン酸が配合されているのか

これまで述べてきたように、ヒアルロン酸は種類によって使用感や効果が異なります。したがってヒアルロン酸配合の化粧品を選ぶときは、「どの種類のヒアルロン酸が配合されているのか」を確認することが大切です。

例えば、さっぱりした使い心地を求めている人には「加水分解ヒアルロン酸」が適していますが、しっとりした使用感を求めるなら「ヒアルロン酸Na」の方が適しています。

その他の美容成分も目的に合っているか

化粧品の中には、ヒアルロン酸と他の美容成分を組み合わせたものも数多く販売されています。一番人気はシワ改善・ブライトニング・抗肌荒れ効果を持つ「ナイアシンアミド」です。

ブライトニングや抗酸化であれば、「ビタミンC」も人気です。乾燥肌にはバリア機能をサポートする「セラミド」や「ヘパリン類似物質」などがよいでしょう。

必要に応じてヒアルロン酸以外の成分にも注目し、自分の肌悩みに合った成分が組み合わされているものを選ぶとより効果的です。

ヒアルロン酸が肌に合わない人もいる

ヒアルロン酸はもともとヒトの体内にも存在するため、基本的にはアレルギーなどの心配が少なく、安全性の高い成分です。

しかし、ヒアルロン酸による皮膚炎が起こる人も稀にいます。また、ヒアルロン酸は問題なかったとしても、一緒に配合されている別の成分が合わないこともあるでしょう。万全を期すのであれば、使用前にパッチテストをすると安心です。

まとめ

高分子ヒアルロン酸はしっとりとした使用感で、肌表面にうるおいの保護膜を作れる成分です。化粧品の成分表示名は「ヒアルロン酸Na」または「ヒアルロン酸ナトリウム」です。

そして高分子ヒアルロン酸を分解して小さくすると、低分子ヒアルロン酸になります。こちら肌に浸透しやすいため、角質内部にうるおいを届けたいときに向いています。成分表示名は「加水分解ヒアルロン酸」です。

ヒアルロン酸は種類によって使用感や効果が異なるので、肌悩みに合った種類が配合されている化粧品を選ぶとよいでしょう。