花粉シーズンの肌荒れにおすすめの美容成分と、スキンケアの選び方

この記事を書いた人
小鳥遊 文子
コスメコンシェルジュ

【保有資格】 ・2022年~:日本化粧品検定1級 ・2023年~:特級コスメコンシェルジュ/化粧品成分上級スペシャリスト(化粧品成分検定1級) 化粧品を信仰しない、フラットな目線からの記事作成を心掛けています。

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寒さが緩み、過ごしやすくなってきたと思ったところに、やってくるのが花粉の季節。「この時期になると、毎年肌荒れする」という人も多いですよね。人によってはスギ花粉の他に、イネ科植物やブタクサなどの花粉にも反応してしまい、一年中気が抜けないことも。

そこでここでは、花粉シーズンの肌荒れにおすすめの美容成分と、スキンケアの選び方を解説します。花粉の季節の肌荒れに悩んでいる人は、参考にしてください♪

花粉シーズンの肌荒れには、刺激は禁物

肌荒れしているときは、敏感傾向かも

花粉シーズンで肌荒れしているときは、肌が敏感傾向に傾いている可能性が高いです。普段は敏感肌でない人も、花粉の刺激や頻繁に鼻をかむことによる乾燥などによって、この時期だけ敏感傾向になることがあるからです。

敏感肌に明確な定義はありませんが、外部刺激に反応しやすい状態になっていることを敏感肌と呼ぶのが一般的です。外部刺激に過敏ということは、肌のバリア機能が低下している可能性が高い状態です。したがって、肌荒れが見られたときは、なるべく刺激を避けて肌をやさしく扱うことが大切です。

刺激の強い化粧品は避ける

肌荒れが落ち着くまでは、刺激の強い化粧品は避けましょう。こうしたときに避けた方がよい成分には、以下のものが挙げられます。

  • 濃度の高いエタノール(アルコール・変性アルコールを含む)
  • スクラブ
  • カチオン界面活性剤(~クロリド、~アンモニウム、~ブロミド、~アミンなど)

一般的には、上記の成分に気を付ければよいかと思いますが、特に敏感傾向が強く、化粧品がなかなか合わないようなときは、なるべくシンプルな成分設計の化粧品を選ぶとよいです。特に気を付けたい場合は、以下の成分も除外してみるとよいでしょう。

  • 精油
  • 香料
  • メイクアップ品以外の着色料
  • 紫外線吸収剤(メトキシケイヒ酸エチルヘキシルなど)
  • 植物エキス

なお、紫外線吸収剤については、UVカット効果がない商品であっても、品質保持のために少量の紫外線吸収剤を配合することがあります。

また、ここで挙げた成分以外にも、自分と相性が悪いと感じる成分や、アレルギーのある成分は避けましょう。

パッチテスト・スティンギングテスト済みの化粧品を選ぶ

肌への刺激が少ない化粧品の目安の一つとして、パッチテストやスティンギングテストが行われていることが挙げられます。スティンギングテストとは、製品使用時における、かゆみやヒリつきなどの感覚刺激を評価するテストです。

肌質・体質には個人差もあるため、これらのテストが実施されている製品であっても、人によっては合わないこともあります。ですが、「一般的には大きな問題がないと考えられる基準」は満たしていることになります。

そのため、こうしたテストが行われた製品から選ぶと、トラブルが起こらない商品を見つけられる可能性が高まります。

花粉シーズンの肌荒れにおすすめの美容成分

バリア機能をサポートする「セラミド」「ヘパリン類似物質」

花粉シーズンの肌荒れ対策におすすめの成分として特におすすめなのが、肌のバリア機能をサポートしてくれる成分です。具体的には、「セラミド」や「ヘパリン類似物質」が該当します。

細胞間脂質の主成分「セラミド」

セラミドは、肌のうるおいのもととなる「細胞間脂質」を構成する主要な成分の一つです。細胞間脂質は、レンガのように並んだ角質細胞の間の隙間を埋めるセメントの役割を担っています。

乾燥などで細胞間脂質が減少すると、角質細胞と角質細胞の間に隙間ができるため、肌内部の水分が蒸発しやすくなり、外部からの刺激物質が侵入しやすくなります。これが、肌のバリア機能が低下している状態です。

花粉による肌荒れが起きている肌もこのような状態になっている可能性が高く、不足したセラミドを補うことで、バリア機能をサポートできることがあります。

肌のうるおい構造を修復する「ヘパリン類似物質」

花粉シーズンの肌荒れには、「ヘパリン類似物質」もおすすめです。

角質細胞の隙間を埋めている細胞間脂質は、「ラメラ構造」と呼ばれる特徴的な構造になっています。健康な肌の細胞間脂質は、油分と水分がミルフィーユ状に規則正しく並ぶことで、肌のうるおいを保っているのです。

しかし、乾燥などによってラメラ構造の配列が乱れると、肌のうるおいを保つことができなくなるため、バリア機能が低下します。

保湿成分の一つとして知られる「ヘパリン類似物質」には、破綻したラメラ構造を回復させる働きがあるので、バリア機能のサポートに役立ちます。

以下は、ヘパリン類似物質の保湿作用のメカニズムについての論文から、抄録を引用したものです。

ヒルドイド製剤の有効成分であるヘパリン類似物質の保湿作用メカニズムを解明するために,角層の水分保持機能とバリア機能に対する作用を実験的ドライスキンモデルにおいて検討した。ドライスキンモデルは,ヘアレスマウスの背部にアセトン/エーテル(1:1)混液と蒸留水(A/E/W)を1日1回,8日間処置して作製した。ヒルドイド®ソフトまたはヘパリン類似物質を含まない基剤は,A/E/W処置開始翌日より1日1回(100mg),7日間塗布した。A/E/W処置により,角層水分量と天然保湿因子である遊離アミノ酸の量は有意に減少し,経表皮水分蒸散量(TEWL)は有意に上昇した。また,角層細胞間脂質のラメラ構造は破綻していた。病理組織学的には,表皮の肥厚が観察された。ヒルドイド®ソフトを反復塗布すると,A/E/W処置による角層水分量の減少とTEWLの上昇は有意に抑制され,角層中の遊離アミノ酸量は有意に増加した。また,角層細胞間脂質のラメラ構造には回復傾向が認められ,表皮の肥厚は顕著に抑制された。以上の結果から,ヘパリン類似物質はドライスキンにおける角層の水分保持機能とバリア機能の低下を改善し,両機能の改善には主に天然保湿因子の増加が関与しており,角層細胞間脂質のラメラ構造の回復促進も一部,関与していると考えられた。

引用元:J-STAGE

肌荒れを防ぐ「グリチルリチン酸2K」「ナイアシンアミド」など

肌荒れを防ぐ成分にも注目してみるとよいでしょう。肌荒れを防ぐ代表的な成分には、以下のものがあります。

  • グリチルリチン酸2K(グリチルリチン酸ジカリウム)
  • グリチルリチン酸ステアリル
  • アラントイン
  • カンゾウ根エキス

スキンケアなどの化粧品の中には、肌荒れを防ぐ成分を有効成分として配合した薬用化粧品もあります。必要に応じて、そうした商品を試してみてもよいでしょう。

乾燥肌ならマカデミア種子油やシア脂もおすすめ

油分が不足ししやすい肌質の場合は、マカデミア種子油やシア脂といった「油脂」もおすすめです。これらは人間の皮脂に近い成分で、角質をやわらかくする作用があります。

帰宅後すぐの洗顔も効果的

花粉シーズンの肌荒れには保湿の他に、帰宅後すぐの洗顔も効果的です。刺激の少ない洗顔料で丁寧に洗顔することで、顔に付着した花粉を洗い流しましょう。

肌をこすらないよう、たっぷりの弾力泡で押し洗いするのがコツです。泡立てが苦手な人は、泡で出てくるタイプの洗顔料を使用してもよいでしょう。

それから泡が残らないよう丁寧にすすぎ、タオルで軽く押さえるように水気を拭きます。洗うときも拭くときも、肌をこすらないことがポイントです。

フェイスラインや生え際はすすぎ残しが出やすいので、鏡で確認しながらすすぐとよいです。

まとめ

花粉シーズンに肌荒れする場合は、肌のバリア機能が低下している可能性があります。このようなときは刺激の強い化粧品を避け、保湿を重視するとよいです。

特に、バリア機能をサポートする「セラミド」や「ヘパリン類似物質」は、肌のうるおいを保つのに効果的です。

また、「グリチルリチン酸2K」をはじめ、肌荒れを防ぐ成分にも注目してみるとよいでしょう。

油分が不足しがちな肌質の場合は、「マカデミア種子油」や「シア脂」も保湿効果が高くおすすめです。