脂性肌(オイリー肌)の治し方。皮脂分泌が過剰になる原因と対策方法

この記事を書いた人
小鳥遊 文子
コスメコンシェルジュ

【保有資格】 ・2022年~:日本化粧品検定1級 ・2023年~:特級コスメコンシェルジュ/化粧品成分上級スペシャリスト(化粧品成分検定1級) 化粧品を信仰しない、フラットな目線からの記事作成を心掛けています。

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【スキンケア編】過剰な皮脂分泌を抑える対策方法

そもそも皮脂とは?

脂性肌の大敵である「皮脂」とは、毛穴の中の皮脂腺から分泌される油脂状の物質です。大部分を「トリグリセリド」が占め、他には「スクアレン」や「ワックスエステル」などの成分で構成されます。

トリグリセリドを主成分とする「油脂」に近い物質なので、脂性肌の人はオリーブ果実油やマカデミア種子油などの「油脂」を含むスキンケアとは相性が悪い傾向があります。(個人差や製品にもよります。)

本来は肌を守るために必要なもの

皮脂は本来、「皮脂膜」と呼ばれる保護膜を形成することで、乾燥などの外部刺激から肌を守るために必要なものです。

何かと厄介者扱いされがちな存在ですが、皮脂がまったくない肌は水分がどんどん蒸発してしまいますし、ちょっと何かにこすっただけで擦り傷ができるなど、刺激に対して非常に弱くなります。

また、皮脂にはウイルスや細菌の侵入を防ぐ「抗菌」の役割もあります。

そのため皮脂対策をするときは、「肌に必要な皮脂は残す」という意識を持っておくことが大切です。 皮脂をすべて除去するとそのときはさっぱりしますが、長期的には肌に負担がかかるため、かえって皮脂量を増やしたり、敏感肌に傾いたりといったリスクが生じます。

こすらない・叩かない・強い成分は使わない

ベタつきやテカリが気になると、洗浄力の高い洗顔料を使うなどの「肌に厳しいスキンケア」をしたくなります。 ですが、過剰な皮脂分泌を抑えたいときこそ、肌をやさしく扱うことが大切です。

活性化してしまった皮脂腺を落ち着かせるためには、「肌をこすらない・叩かない・強い成分は使わない」ことを意識するとよいでしょう。

ピーリング成分や脱脂力が強い洗浄成分などの、刺激が強い成分もなるべく使わない方がよいです。 毛穴パックなどの、肌負担が大きい毛穴ケアも避けましょう。

刺激の強い成分や美容法は即効性が期待できますが、同時に皮脂腺の活性化・バリア機能の低下・大人ニキビにも繋がるため、どんどん肌質が悪くなります。

肌を乾燥させるケアは思春期のみ

不快なほど皮脂が多い状況だとつい、いかに肌を乾燥させてさっぱりするか、という方向に意識が向きがちです。実際に皮脂対策用のスキンケアには肌を乾燥させるものもありますが、肌を乾燥させるケアは思春期の脂性肌のみにした方がよいでしょう。

二十歳以降は逆に、うるおいを与えることで皮脂分泌を抑えるケアに切り替えた方が効果的です。

また、思春期のスキンケアでもそこまで脂っぽくない人の場合は、肌を乾燥させない化粧品を選んだ方がよいです。それほど皮脂が多くない人が乾燥するスキンケアを使うと、自分では気が付かなくても刺激が強過ぎる可能性が高いです。

頻繁に皮脂を取らない

油取り紙などで頻繁に皮脂を取ることも、皮脂分泌を促す原因になります。

皮脂腺には、肌に皮脂がなくなると皮脂を分泌し、皮脂量が一定に達すると分泌を止める性質があります。 頻繁に皮脂を取ると「分泌→停止」をくり返すことになるため、皮脂腺が活性化し、皮脂をたくさん出すようになってしまうのです。

そもそも乾燥肌の人でも、汗をかいたときや暑いときは多少は肌がベタつくもの。皮脂を取りすぎないためには、ベタつき・テカリを気にしすぎないことも大切です。

なお、皮脂が多くてテカりやすい人は無理にマット肌に擬態させるよりも、つや肌を目指すことで多少のベタつき・テカリはメイクアップ効果として利用するとラクです。

生理前などの一時的な脂性肌を気にしすぎない

皮脂分泌はホルモンバランスや体調の変化によっても増えるため、一時的に脂性肌に傾くこともあります。

しかし、あくまで一時的なものなのに脂性肌向けのスキンケアに切り替えてしまうと、肌の乾燥を招くことで皮脂分泌が活発な状態が慢性化します。

「最近、肌が脂っぽいかも・・・?」というときは、「脂性肌になった!」とすぐに思い込むのではなく、いつものスキンケアを続けながらしばらく様子を見てみるとよいです。

その上で、皮脂が気になるようなら軽くティッシュオフする・スキンケアの油分を減らす・フェイスパウダーをはたくなど、肌に負担のかからない範囲で対策してみるとよいでしょう。

洗顔は1日2回まで

どんなに脂っぽくても、皮脂の取りすぎは禁物です。洗顔も1日2回までにしましょう。

ですが、スポーツをする人やホコリっぽい環境で働いている人など、「朝晩の洗顔とは別に、出先でも顔を洗わないと気持ち悪い」という人もいるでしょう。その場合も洗顔料や石鹸を使うのは1日2回までにとどめ、それ以外は水かぬるま湯で軽く洗う程度にするとよいです。

なお、本当に脂性肌の人以外は、朝は洗顔料なしで、水またはぬるま湯ですすげば十分です。水ですすぐだけだとヌルつきが残るようなら、事前に余分な皮脂をティッシュオフしておきましょう。

洗顔料による刺激や乾燥が防げるので、過剰な皮脂分泌や大人ニキビを落ち着かせることに繋がります。

洗顔料は低刺激なものを使う

洗顔料を使うときは、なるべく低刺激で洗浄力が強過ぎないものを選びましょう。余分な皮脂を事前にティッシュオフすれば、強い洗浄成分は必要ありません。

洗浄力が強い=肌への刺激も強いので、皮脂腺を活性化させて逆効果です。また、長期的にはダメージが蓄積することで、しわやたるみなど別のトラブルの原因にもなります。

なお、背中などボディーの脂っぽさが気になる場合も、強過ぎる洗浄料は皮脂腺を刺激するので逆効果です。その場はさっぱりしますが、くり返すごとに皮脂腺が活性化してしまいます。

熱いお湯で洗うのはNG

熱いお湯で顔や体を洗うのもNGです。熱いお湯で洗うと皮脂がよく落ちてさっぱりしますが、肌を乾燥させるので逆効果です。

湯船で熱いお湯に浸かるのも、なるべく控えましょう。

汗や水気を拭くときは、こすらず押さえるように

汗や水気を拭くときは、こすらず押さえるようにして、タオルやハンカチに水分を吸収させます。顔だけでなく、ボディーも同じです。

こするように拭くと刺激を与えるので、皮脂分泌を促すばかりか、シミ・しわ・たるみの原因にもなります。

なお、タオルやハンカチは吸水性が高いものを使用すると、何度も肌に触れなくても水気を拭き取れるので、摩擦・刺激を減らせます。 また、タオル・ハンカチを洗濯するときは吸水性を損なわないようにするため、柔軟剤は使いません

どの肌質も水分補給は不可欠

どの肌質にも水分を与えるケアは不可欠です。肌の水分量が多い脂性肌や普通肌でも、洗顔直後は肌の水分が流れ出て減ってしまうので、化粧水などで水分を与えてあげましょう。

肌の細胞には水分が含まれているので、体の中からの水分補給も大切です。体質や体格、健康状態などによって適切な水分摂取量は異なりますが、一般的には成人1日で2.5リットルの水分が必要といわれています。(飲み物だけでなく、食べ物に含まれる水分もカウントします。)

しかし、水分を摂りすぎても頭痛や倦怠感などを引き起こすので、自分の適量を見極めながら少しずつ摂取するとよいです。また、緑茶などの利尿作用があるものは、水分補給したことになりません。

スキンケアの仕上げに「フタ」を

肌に水分だけを塗っても、すぐに蒸発してしまいます。蒸発する際に肌にもともとあった水分も奪うため、水分を塗る前よりも乾燥してしまいます。

したがって、脂性肌であってもスキンケアの仕上げには、油分で「フタ」をするのが基本です。 あまりたくさん塗るとニキビや毛穴詰まりを引き起こすので、手のひらに広げたものをごく薄く肌に移す程度で構いません。

おすすめはスクワランオイル。アクネ菌のエサになりにくいのでニキビの原因になりにくく、脂性肌にも安心して使えます。

「保湿剤」成分でも水分の蒸発を防げる

脂性肌の人の中には、「油分はどうしても苦手」という人もいます。油分が苦手な人は、「保湿剤」と呼ばれる成分を利用することでも、肌の水分の蒸発を防げます

「保湿剤」は水性成分の一種で、グリセリンやBG、DPG、ヒアルロン酸Naなどが該当します。

化粧水やオールインワンジェルなど、脂性肌の人が利用しやすいスキンケアにもよく配合されています。特に成分表示の前半に「保湿剤」の成分が書かれている化粧水などは、単品でも保湿効果が長続きする傾向があるので、油分を重ねたくない人におすすめです。

自分で化粧水を作る場合も、グリセリンやヒアルロン酸Naなどの「保湿剤」を混ぜておくと、水だけよりも水分が蒸発しにくいでです。

ただし、グリセリンで肌荒れする人などもいるため、少しずつ試しながら自分の肌と相性のよい成分を探してみるとよいでしょう。

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